国民のほとんどがスマホやパソコンを持ち、日々インターネットサーフィンやSNSを楽しんでいる現代社会において、インターネットはなくてはならない存在になっていると言えるでしょう。
またインターネットは私生活のみならず、ビジネスの世界でも必要不可欠なものになっていると言えます。一時はSEM(リスティング広告、SEO)がもてはやされ、いろいろな企業が集客や自社の検索露出の増加を狙うようになりました。しかし、近年そのリスティング広告やSEOだけでは不十分であるとして、コンテンツマーケティングが注目されるようになったのです。
そこで今回は、コンテンツマーケティングの必要性について解説したいと思います。
SEOとコンテンツマーケティングについて
コンテンツマーケティング≠SEO
WEBマーケティングを始めたばかりの方の中には、「SEOとコンテンツマーケティングって同じことじゃないの?」と考えている方も多いと思います。いや、WEBマーケティングをある程度かじった人であっても、「コンテンツマーケティング=SEO(集客手段)」と考えている方が多いのが現状です。
Googleで「コンテンツマーケティング」関連検索ワードを調べてみると、コンテンツマーケティング先進国のアメリカでは「Strategy(戦略)」という単語が上位に入ってくるのに対し、日本では「SEO」という単語が上位に入ってきます。つまり、日本ではまだ、「コンテンツマーケティング=集客手段」という認識が強いということです。
しかし、本場アメリカでコンテンツマーケティングがマーケティング手法の根幹として、その戦略性が注目されていることからもわかるように、コンテンツマーケティングは決してSEO戦略のひとつではありません。
たしかに、コンテンツマーケティングも検索露出や集客を増加させるという要素を持っています。しかしそれはサブ的な効果であるに過ぎず、コンテンツマーケティング本来の目的は、魅力的なコンテンツの制作・発信によって見込み顧客のニーズを育て、そこから自社製品やサービスの購入・利用につなげ、最終的には自社のファンとして定着させることです。
短距離走と長距離走ほどの違い
リスティング広告やSEOは、ある単語を検索する人たち(例:「ダイエット サプリ」など)、つまり検索すべき単語をすでに知っている顧客をターゲットとするものになります。要はその検索があった瞬間だけ自社のコンテンツが上位に入っていればいいという「瞬発力」勝負になるということです。一方でコンテンツマーケティングは、ニーズがまだ顕在化していない、いわゆる見込み顧客の段階からそのニーズを育て、最終的にファン化させるという「持久力」勝負の手法であると言えます。
このように、SEMとコンテンツマーケティングには、短距離走と長距離走ほどの違いがあると言えるのです。両者を混同して、長距離走を短距離走のように走ってしまっては、始めのうちはトップになれても、やがて体力が尽き果てて失速します。
コンテンツマーケティングの導入を検討する際は、SEMとの違いをしっかり把握し、適したスタイルで走るようにしましょう。
なぜ今コンテンツマーケティングが必要とされているのか
コンテンツマーケティングが注目され始めた要因として、マス広告やネット広告の限界や、SEMに頼り続けることのリスクが挙げられます。
売り込み型の限界
マス広告と言うのは、不特定多数に対して大々的に商品やサービスの情報を発信するというスタイルの広告です(わかりやすい例にテレビCMなどがあります)。このようなテレビCMに代表されるマス広告を始め、ネット広告、テレアポ型セールスなどを含んだマーケティング手法を「売り込み型」といいます。
「売り込み型」のマーケティングは、その名の通り、自社の商品やサービスを不特定多数、またはランダムに選ばれた人たちに売り込みをかけるというスタイルのマーケティングです。この方法はより大勢に商品やサービスについて知ってもらうためには有効ですが、実際に購入・利用につながるかと言えば、その割合は大きくありません。そもそも興味がない人に商品やサービスを宣伝したところで、購入や利用につながる可能性は低いのです。やはり「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」「片っ端からナンパする」的な発想から生まれていることがぬぐい切れない手法であると言えます。
また、ネット社会化した現代においては、情報収集のほとんどがネット検索によって行われます。ネット隆盛以前であれば、新商品などの情報は店頭で見るか、テレビCMに頼るしかありませんでしたが、現在は「興味があるものは自分で検索して探す」時代。かつては当たり前だった御用聞き営業も、「自分で調べるからいい」と突っぱねられる時代になっているのです。
リスティング広告やSEOに頼り切ることのリスク
上記のようなことから、マーケティングは主戦場をWEB上へとシフトされ、SEM(リスティング広告やSEO)が台頭してきたわけです。しかし、現代ではそのSEMに頼り切ることにもリスクがあると言われています。
そもそもリスティング広告では、ある単語で検索をした顧客以外にしかリーチできません。つまり、自分のニーズが顕在化している顧客層にしか効果を発揮できないということです。ニーズが顕在化していない大勢の見込み顧客を切り捨てることになるので、どうしてもリーチの幅が狭まり、集客効果も頭打ちになってしまいます。
また、リスティング広告の単価が上がり続けている傾向があり、これまでは収益性の高かった単語も価格が高騰してなかなか入札できない、もしくは入札できても採算がとれないという事態になりつつあるのが現状です
リスティング広告が注目され過ぎたことにより、限られた広告スペースをたくさんの企業が奪い合うことになり、リスティング単価の高騰につながっています。
SEOも、集客レースに熱中しすぎた結果コンテンツ自体のおもしろさや魅力への求心力がおざなりになり、顧客の定着やファン化と言った「顧客の確保」が難しくなっています。
たしかにリスティング広告やSEOは、コンバージョンに直結しやすく、即効性という面ではマス広告よりも優れていると言えるでしょう。しかしそれは、「自分のことが好きだというのが明らかな人」に告白するのと同じことで、当然と言えば当然のことです。
より多くの顧客を確保し、長期的に自社の製品やサービスの購入・利用を継続してもらうには、「自分に興味がない人を振り向かせる努力」も必要になります。だからと言って片っ端からナンパするスタイルでは、振り向いてもらえる可能性は低いですし、振り向いてもらったとしても、関係が長続きする可能性は低いでしょう。
中間に位置するコンテンツマーケティング
そこで登場したのが、売り込み型とSEOの中間に位置すると考えられるコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングは、SEO効果を確保しながらも、コンテンツの内容に重きを置いたものですので、売り込み型のように幅の広い人たちにリーチすることが可能になります。というのは、現代ではSNSなどによってコンテンツを拡散するといった、「検索しない方法」によってリーチを促すことができるからです。
ここで重要なのが、前項で紹介した、「コンテンツマーケティング≠SEO」という考え方になります。
集客手段のひとつとしてコンテンツマーケティングをしていては、この「検索しない方法」による拡散はあまり期待できません。SEOは検索露出を最重要視したものですので、コンテンツ自体のおもしろさや魅力という点に欠け顧客の確保につなげにくいのです。
コンテンツマーケティングをマーケティングの根幹に置き、戦略的に魅力あるコンテンツにすることで、見込み顧客を振り向かせ、振り向かせた顧客を自分たちのファンとして確保することができるようになります。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングには、さまざまなメリットがあります。コンテンツマーケティングで得られるメリットを具体的に見ていきましょう。
資産としてコンテンツを維持することができる
一般的なネット広告は、一度発信されたものは時期が来れば自然とその効果を失っていきます。また設定予算を消化してしまうと表示されないものもあります。
しかしコンテンツは、一度発信すれば消さない限りインターネット上に残り続けます。そして魅力的なコンテンツを更新し続けることで資産は蓄積していくので、結果として集客につながり続けるのです。トラフィックを積み重ねていくことでサイト評価を引き上げるというのもメリットの一つですね。
継続して発信することで、自社の信頼を高めることができる
顧客が興味を抱くコンテンツを継続的に発信していくことで、「知識がしっかりしている会社」「専門性のある会社」と認識されるでしょう。専門性が認識されることで、会社の信頼性をより高めることにつなげられるのです。独自の情報を発信するとさらに効果的です。
顧客ロイヤルティの向上につながる
有益な情報を提供し続けることで、顧客の中には会社に対する「感謝の心」「あの会社に任せれば大丈夫だ」という愛着心、忠誠心が生まれるでしょう。つまり企業へのロイヤルティが高まっていくのです。顧客ロイヤルティが向上することで、他社と比較されにくくなり、価格競争に巻き込まれにくくなります。また、継続発注なども受けやすくなるでしょう。
まとめ
ネット社会になっている現代社会において、WEBマーケティングはビジネスの拡大に必要不可欠です。もちろん、売り込み型のマーケティングや、リスティング広告、SEOといった従来型のWEBマーケティングの手法が過去の産物になったとは言いません。しかし、それらの手法に限界やリスクがある以上、新しい手法を取り入れ実践する必要があると言えるでしょう。
売り込み型とSEMにコンテンツマーケティングを加えた三本柱のマーケティングを展開し、ネット隆盛の現代社会を勝ち抜いていきましょう。