【用語解説】キラーコンテンツ
キラーコンテンツとは、ある特定の分野において強力な集客力を持つ魅力的なコンテンツ(製品、サービス、著作物など)のこと。キラーコンテンツの有無は、その分野での普及や差別化、競合に対する優位性の確保などに大きく影響する。
キラーコンテンツとはどういう意味?
英語の「キラー(killer)」は文字通り「殺人者」を意味する言葉ですが、口語表現では「驚異的な」「すごい」などといった意味合いで使われることがあります。日本語で言えば「必殺の」「ヤバイ」などといった言葉とニュアンスが近いと言えるでしょう。
つまり「キラーコンテンツ」とは、日本語に訳すと「必殺のコンテンツ」ということになります。そのコンテンツを有する分野を普及させる決め手となるような「魅力的で強い集客力を持つコンテンツ」という意味で使われます。
コンテンツ(content)の意味については、『そもそも「コンテンツ」とは? Webマーケティングにおける重要性(https://writing-works.jp/glossary/content/)』という記事で詳しく解説してます。
本来コンテンツとは、英語で「中身」「内容」などを意味する言葉で、近年ではマスメディアやデジタルメディアで提供される「著作物」を指して用いられることが多いです。「キラーコンテンツ」という場合の「コンテンツ」は、著作物に限らず、広く「製品」「サービス」「システム」などを指して用いられているケースも多く見られます。
ある分野の普及に大きく寄与するコンテンツ(著作物、製品、サービス、システムなど)などを指して、「○○があの分野にとってのキラーコンテンツだった」と称するのです。
キラーコンテンツの具体例
「ある分野の普及に寄与する魅力的なコンテンツ」と言われても今ひとつピンと来ないという方もいるかもしれませんね。キラーコンテンツの具体例として挙げられることが多いのが、ソニーの家庭用ゲーム機PlayStationにおけるゲームタイトル「ファイナルファンタジーⅦ」です。
1994年にPlayStationが発売された直後は、セガサターンや3DO、PC-FXなど「次世代ゲーム機」と呼ばれた家庭用ゲーム機が各メーカーから登場し、シェアを競い合う状況でした。
しかし1996年にスクウェアが人気RPGシリーズの最新作となる「ファイナルファンタジーⅦ」をPlayStation用ソフトとして発売することを発表したことをきっかけに、PlayStationの販売台数が飛躍的に伸び、ほかのゲーム機と大きく差をつけることとなったのです。
「ファイナルファンタジーⅦ」は、次世代ゲーム機市場にとってのキラーコンテンツの一つであり、中でもPlayStationにとってまさに「キラーコンテンツ」であったと言えます。
ゲーム機におけるゲームタイトル以外にも例えば、
- テレビ局、動画配信サービスにおける人気番組
- 販売店における人気独占販売品
- SNSにおける人気配信者・インフルエンサー
なども「これがあるから選んだ」という決め手となるコンテンツ、すなわちキラーコンテンツとなりうると言えるでしょう。
Webマーケティングにおけるキラーコンテンツとは
先述のとおり、キラーコンテンツという言葉自体は、本来の「コンテンツ」と一般的に呼ばれるものより広い範囲の製品やシステムなどを対象にして使われるケースが少なくありません。
ここからはもう少し対象を絞り込んで、Webマーケティングにおける「キラーコンテンツ」について考えていきましょう。マーケティングにおいて「キラーコンテンツ」が指すものは、目的などによって変わってくるはずです。
前提として「自社ブランドの最も魅力的な商材」
企業のマーケティングにおいて、まず前提となるキラーコンテンツは「競合ではなく自社ブランドを選ばせる、魅力的な製品・サービス」です。自社の提供する製品やサービスの中でも特に人気が高いもの、顧客を自社の「ファン化」する魅力を持った商材が、自社のキラーコンテンツであると言えるでしょう。
Webマーケティングにおけるキラーコンテンツ
Webマーケティングでは、Webサイトからのコンバージョン(CV)が目的となります。CVの内容はWebサイトによって異なりますが、多くは購入や申し込み、あるいは資料請求や問い合わせなどといったユーザーのアクションをCVとして設定しているはずです。
この視点における「キラーコンテンツ」は、「コンバージョン率(CVR)の高いコンテンツ」のことであると言えます。「そのページにアクセスした人が高確率で購入や申し込みをする」というコンテンツが、Webマーケティングにおけるキラーコンテンツなのです。キラーコンテンツにアクセスしたユーザーは、直後にコンバージョンにいたらなくても、フォローすることでコンバージョンしやすいユーザーであると言えます。
コンテンツマーケティングにおけるキラーコンテンツ
Webマーケティングの最終的な目的はコンバージョンですが、直接コンバージョンを目的としないWebコンテンツによるアプローチも、近年ではより重要度を増しています。ターゲットユーザーに価値あるコンテンツを提供することで、見込み度の高い顧客へと育成する「コンテンツマーケティング」も、そうしたアプローチの一つです。
コンテンツマーケティングは、直接的なコンバージョンは目指すものではありません。多くのターゲットユーザーを自社メディアへと呼び込み、繰り返しアクセスしてもらうことが重要だといえます。
つまり、コンテンツマーケティングにおけるキラーコンテンツは、「このコンテンツがあるからアクセスする」というユーザーが多数見込めるコンテンツであると言えます。
キラーコンテンツを目的にアクセスしてきたユーザーとのコミュニケーションを継続することで、ロイヤルティや見込み度の向上につなげるのです。
キラーコンテンツを作るには
Webマーケティングにおけるキラーコンテンツの意味を確認できたところで、ここからは、キラーコンテンツを作るためのポイントについて考えていきましょう。
既存コンテンツを分析する
キラーコンテンツとすべく作ったコンテンツが、狙い通りキラーコンテンツとしての役割を果たすとは限らないものです。むしろ、想定外のコンテンツに多くのアクセスが集まったり、コンバージョン率が高かったりするケースも多いものです。
キラーコンテンツを生み出すには、まずは既存のコンテンツに対するアクセスやユーザー行動をしっかりと分析し、PDCAを回しつつテストや改善を行なっていくべきでしょう。
現状、流入が高いコンテンツやコンバージョン率の高いコンテンツを分析し、強化することでキラーコンテンツを作るのです。
ユーザーのニーズに応じたコンテンツを用意する
集客力のあるコンテンツとは、ユーザーにとって魅力的なコンテンツすなわちユーザーのニーズにマッチするコンテンツであると言えます。キラーコンテンツを作るためには、ユーザーのニーズを的確に把握することが大切です。ターゲットユーザーの行動分析や、それにもとづくカスタマージャーニーの作成を行い、ターゲットユーザーの関心度レベルに応じた、疑問解決や必要な情報の提供など、適切に価値を提供できるコンテンツを作ることが、キラーコンテンツを作るためのポイントだと言えるでしょう。
まとめ
キラーコンテンツの意味と、キラーコンテンツを作るにあたってのポイントについてご説明しました。
キラーコンテンツと呼ぶと特別なもののような印象を受けますが、「ユーザーに価値を提供する」というコンテンツマーケティングの基本に忠実に作り上げたコンテンツを、改善を重ねることでキラーコンテンツに仕立て上げていくというふうに考えることをおすすめします。
自社メディアにとってのキラーコンテンツについて、ぜひしっかりと検討して、コンテンツマーケティングに活用なさってください。