用語解説【エバーグリーンコンテンツ】
エバーグリーンコンテンツとは、公開から長期間にわたってユーザーに価値を提供し続けるコンテンツのこと。普遍的なテーマや内容を扱った参照型の記事やツールなどに代表される。
短期集中的に価値を提供するバズコンテンツ(トレンド型コンテンツ)とは対照的な性質を持ち、長期的にマーケティング効果やSEO効果を高めることに役立つ。一度作成すれば更新や修正の手間が少ないため費用対効果も高いと言える。
エバーグリーンコンテンツとは
エバーグリーン(evergreen)とは、英語で「常緑樹」を意味する言葉で、「不朽の」や「時を経ても衰えることのない」といった意味で用いられることがあります。そんな意味合いから、長い時間を経ってもユーザーに必要とされ、愛され続けるコンテンツが「エバーグリーンコンテンツ」と呼ばれるのです。
コンテンツの品質を評価する基準は多数ありますが、「長期的に価値を提供し続けることができるかどうか」という基準を満たすコンテンツがエバーグリーンコンテンツであると言えるでしょう。
ストック型コンテンツとフロー型コンテンツ
エバーグリーンコンテンツとは対極的な特徴を持つコンテンツとして、「バズコンテンツ」があります。
SNSなどでバズ(広く拡散されること)を起こし、短期集中的にアクセスを集めるコンテンツのことを指します。
エバーグリーンコンテンツとバズコンテンツを比較するうえで押さえておきたいのが、「ストック型コンテンツ」と「フロー型コンテンツ」という分類です。
ストック型コンテンツは、一度作ったら『長期的に失われない価値』を提供できるコンテンツ。フロー型コンテンツは、『タイムリーな価値』を提供するために、次々に新しく作り続けていくコンテンツです。
この分類に当てはめると、エバーグリーンコンテンツはストック型、バズコンテンツはフロー型のコンテンツであると言えますね。
フロー型であるバズコンテンツのメリットは、トレンドネタやニュースネタなど、多数のユーザーが関心を持つ内容を狙って作成するため、比較的コンテンツの作成が容易であることが挙げられます。
狙い通りにバズれば短期的に多くの注目を集め、アクセス数やコンバージョン数も爆発的に増えることとなるので費用対効果の高い広告方法であると言えるでしょう。
デメリットとしては、前述でお伝えした通り、短期集中的にアクセスを集めることを目的としたコンテンツのため長期的な効果を見込めない点が挙げられます。
定期的にコンテンツをバズらせるためには労力が必要ですが、苦労して作った大量のバズコンテンツのほとんどは時間が経てば価値がなくなってしまいます。労力をかけても、資産として残らないのがフロー型コンテンツなのです。
逆に、ストック型であるエバーグリーンコンテンツは、バズコンテンツのように短期的に大きな成果を上げることはできません。しかし長期的な視点で見れば多くのメリットが期待できるコンテンツです。
ここからは、エバーグリーンコンテンツを作るメリットについて説明していきたいと思います。
エバーグリーンコンテンツのメリット
企業のオウンドメディアにエバーグリーンコンテンツがあることで得られるメリットは、大きく以下の3つに分類することができます。
- マーケティング効果におけるメリット
- SEO効果におけるメリット
- コスト面におけるメリット
では、一つずつ見ていきましょう。
マーケティング効果におけるメリット
オウンドメディアを運営する目的は企業によってさまざまだと思います。とはいえ多くはコンテンツマーケティングの一環として、以下のようなことを目的としているはずです。
- 潜在顧客の集客
- 見込み顧客の育成
- 既存顧客の満足度・信頼感の向上
- ブランド、商品やサービスの認知向上、好感度向上
これらの目的を達成するためには、ターゲットとなるユーザーを長期的かつ継続的にオウンドメディアに呼び込む仕掛けが必要不可欠です。普遍的にニーズの高いエバーグリーンコンテンツを作ることができれば、長期にわたり多くのターゲットユーザーの集客が可能となります。
SEO効果におけるメリット
エバーグリーンコンテンツは、バズコンテンツのようにSNSなどで多くの人に拡散されて広まることは期待できません。しかし、良質な価値を提供できているコンテンツであれば、その情報の価値を理解できる人を通じて、情報を本当に必要としている人へと広まることが期待できます。
例えば、専門家や有識者のSNS、その分野に特化したメディアなどによる被リンクを得やすいのはエバーグリーンコンテンツの特徴です。専門的なサイトは検索エンジンによるドメイン評価が高い場合が多く、そうしたサイトからの被リンクは、自社メディアのドメイン評価を向上させることにもつながります。
エバーグリーンコンテンツによる良質な被リンクの獲得は、自社のオウンドメディアのSEO効果を高めることにも役立つのです。
コスト面におけるメリット
普遍的な内容を扱うエバーグリーンコンテンツを作りこむのは、時事ネタやトレンドなどを扱うバズコンテンツを作るよりも時間や労力がかかると思われるかもしれません。
たしかに、きちんとしたエバーグリーンコンテンツを作り上げるまでには、ある程度の労力が必要になります。しかし、エバーグリーンコンテンツは時代が変わっても変化しない内容を扱っているため、時間の経過による情報更新や修正などの必要が少ないという特徴があります。
一度作り上げたら、最小限のメンテナンスで継続的な効果を得られるのがエバーグリーンコンテンツの魅力です。オウンドメディアの運営担当者の作業負担を軽減し、より重要な業務に比重を置けるようになるというのは、企業にとって大きなメリットです。
機会損失のリスクが低いことも、エバーグリーンコンテンツのメリットでしょう。バズコンテンツは短期的に膨大な集客が可能となりますが、提供している商品やサービス内容によっては、バズで集客できた見込み顧客に対して商品やサービスの提供が追いつかず、結果的に機会損失となってしまうケースも少なくありません。
エバーグリーンコンテンツであれば、ニーズの高いターゲット層を的確に集客し、見込み顧客へと育成、コンバージョンへとつなげるという流れを、高い確度で作っていくことが可能です。
エバーグリーンコンテンツを作るには
メディア事業を本業としている企業や、メディア自体によるマネタイズを意識している場合であれば、バズコンテンツを量産していくというのも一つの戦略であると言えます。しかし、集客やブランディングを目的としたオウンドメディア運用においては、限られたリソースで長期的に効果を得られるエバーグリーンコンテンツの作成が重要であることがお分かりいただけるでしょう。
ここからは、エバーグリーンコンテンツを作るにはどうすれば良いのかを考えていきます。
エバーグリーンコンテンツになりやすいコンテンツ形式
「長期にわたり普遍的な価値を提供する」といわれても、具体的にどういったコンテンツが当てはまるのかがピンと来ないという方も多いかもしれません。
ええ、全然ピンときてません。
コンテンツの形式としては、以下のようなものがエバーグリーンコンテンツとなりやすいでしょう。
- 手順やノウハウを解説するハウツー記事
- ある分野の情報をリスト化したもの
- 用語集、辞書
- Q&A集
- お悩み相談
時間による変化が少なく、数十年、数百年の歴史を持つ分野、数十年後、数百年後にも存在していそうな分野が適しているといえます。
とはいえ、どんな分野でも時代による変化はある程度起こるのが当然ですし、変化のめまぐるしい分野ではエバーグリーンコンテンツを作れないというわけではありません。
変化の大きい分野であっても、普遍的なテーマというのはあるはずです。そうしたテーマとコンテンツ形式の組み合わせを模索することで、エバーグリーンコンテンツのアイデアが生まれてくるはずです。
お客様や初心者の疑問に答えるコンテンツを
どんなコンテンツが自社メディアのエバーグリーンコンテンツになりうるのかが分からないという場合は、お客様からのよくある質問や疑問、初心者ユーザーから多い問い合わせなどがヒントになります。
自社製品やサービスのユーザー、あるいはターゲットユーザーから「これはよく聞かれるな」「ここでつまずく人が多いな」という内容は、いくつも思い浮かぶのではないでしょうか。その疑問に対する回答となるコンテンツを丁寧に作り上げることで、同じ疑問を抱いた人が検索したときにそのコンテンツにたどり着く可能性が高くなります。
いつの時代も多くの人が抱く疑問であれば、それは普遍的なテーマであると言え、その疑問に答えるコンテンツはエバーグリーンコンテンツとなりやすいと言えるでしょう。
まとめ
エバーグリーンコンテンツとは文字通り、「不朽の価値をユーザーに提供し続けるコンテンツ」のことだと言えます。
普遍的な内容のコンテンツほど競合が強い場合も多く、取り組むことをためらいがちなものですが、オウンドメディア運営を成功させるためにはしっかりと向き合って作成に取り組んでいくことが必須です。
まずは自社メディアの中で、エバーグリーンコンテンツと呼べるものや、これから手を加えることでエバーグリーンコンテンツにできそうなものがあるかどうかを確認してみることをオススメします。