「ロイヤルティ」とは? 顧客ロイヤルティ向上の重要性

マーケティング用語解説

用語解説【ロイヤルティ】

ロイヤルティ(Loyalty)とは、消費者が特定の企業やブランド、製品などに対して抱く愛着心や信頼感のこと。
ロイヤルティの高い顧客を「ロイヤルカスタマー」と呼ぶ。ロイヤルカスタマーを増加させることにより、売上の向上や口コミ効果などさまざまなメリットが期待できる。ロイヤルカスタマーに対してベネフィットを提供するマーケティング手法は「ロイヤルティマーケティング」と呼ばれる。

ロイヤルティとは

お店でお気に入りのブランドの新製品を見て、「このブランドのものなら試してみようかな」と、購入を決めたことはないでしょうか?
あるいは、必要なものができたときに「あのブランドの製品はどうかな?」と検索してみたり、「あのお店に行ってみよう」と思ったり……。

このような行動の背景には、そのブランドやお店に対する愛着や信頼があるものです。こうした特定のブランドや店舗などへの愛着心や信頼感のことを言い表す言葉が「ロイヤルティ」なのです。

ロイヤルティ(Loyalty)とは、英語で「忠誠」を意味する言葉です。例えば、会社の従業員が自社の組織やブランド、自社製品に対して抱く愛着や忠誠心は「従業員ロイヤルティ」と呼ばれます。
一方、消費者が特定の企業やブランド、製品などに対して感じる愛着のことは「顧客ロイヤルティ」と呼ばれています。マーケティング用語としてロイヤルティという言葉が使われるときは、顧客ロイヤルティのことを意味しているのが一般的です。

ロイヤルティとロイヤリティの違い

ロイヤルティとロイヤリティ?どっち?

ロイヤルティと混同されやすい言葉に「ロイヤリティ(Royalty)」があります。こちらは英語で「王族、王位」を意味する言葉で、彼らが特権階級であることから転じて、知的財産などの権利を持つ人がその権利の利用料金として徴収する対価のことを言います。例えば、著作権やライセンス使用料、印税などです。

笑顔の女性部下

一般的にはLoyaltyは「ロイヤルティ」、Royaltyは「ロイヤリティ」と区別して表記されることが多く、この記事もそれに準じています。

ただし、英語を日本語でどう表記するかは人それぞれなので、区別せずどちらも同じ表記を用いる人もいます。例えば、「顧客ロイヤリティ」と表記される場合も少なくありません。

文章や会話の中で「ロイヤルティ」「ロイヤリティ」という言葉が出てきたときには、LoyaltyなのかRoyaltyなのか、前後の文脈から判断するように意識しましょう。

  • ロイヤルティ(Loyalty)
  • 企業やブランド、製品などに対して抱く愛着、忠誠心

  • ロイヤリティ(Royalty)
  • 著作権やライセンス使用料、印税など権利者に支払う対価

顧客ロイヤルティ向上の重要性

ロイヤルティの高い顧客(ロイヤルカスタマー)を識別し、ベネフィットを提供するマーケティング手法は「ロイヤルティマーケティング」と呼ばれ、近年注目を集めています。
新規顧客の獲得より既存顧客の維持が重要になってきている昨今では、顧客から信頼や好意を得ることが必須だからです。

ここからは、顧客ロイヤルティを向上させることの重要性について見ていきましょう。

ロイヤルティ向上により得られるメリット

ロイヤルカスタマーが増えることにより期待できる効果として、以下のようなことが挙げられます。

  1. リピート率の向上(解約率の低下)
  2. 顧客単価および売上の向上
  3. 宣伝効果(口コミ、拡散)
  4. 従業員のモチベーション向上

①リピート率の向上(解約率の低下)

ロイヤルティが高い顧客は、競合他社が提供する類似商品や類似サービスへの乗り換えに対し必要性を感じないため、リピート購入をするケースが多いのです。
ロイヤルティが最大限まで高まった顧客は、組織にとってマイナスとなる選択肢(例えば買い替えや乗り換え、解約など)を完全に排除するようになります。

②顧客単価および売上の向上

一般的に顧客ロイヤルティが高いほど、顧客単価が高くなると言われています。企業やブランドへの愛着や信頼感が高くなれば、その企業が提供する別の商品の購入やサービス利用につながるケースが多いためです。顧客ロイヤルティを向上させることは、カスタマーシェアの拡大にもつながるのです。

顧客単価とリピート率いずれも向上が期待できるため、結果としてLTVおよび全体的な売上高が向上します。

③宣伝効果(口コミ、拡散)

ロイヤルティが高い顧客は、自分が使用している商品やサービスを自発的に他者に勧めるという行動を起こしやすいことがわかっています。
家族や友人、知人への口コミやSNSでの拡散など、ユーザー視点での宣伝効果が期待できます。実際に商品やサービスを愛用している人による評価はリアリティを感じられやすいため、新規顧客獲得に役立つと言えるでしょう。

④従業員のモチベーション向上

ロイヤルカスタマーの割合が多くなれば、顧客からのクレーム対応や在庫処理など従業員の心理的負担の大きい業務が少なくなる傾向があります。自社や自社製品およびサービスに対する好意的な声を受ける機会も増えるでしょう。結果として従業員のモチベーション向上につながり、業務効率の向上が期待できます。

顧客ロイヤルティを評価する指標とは?

NPSとDWB

顧客ロイヤルティ向上によるメリットとして、リピート率ひいてはLTVの向上が期待できるのは先述のとおりです。
しかし、リピート率やLTVが高いからと言って、顧客ロイヤルティが高いと言いきることはできません。リピート購入する顧客の中には、「まあ、これでいいか」と惰性でなんとなく購入している人も一定数いるからです。このようなリピート購入は「見せかけのロイヤルティ」と呼ばれます。

リピート率やLTVは顧客ロイヤルティを評価する指標にはなりません。では、どのような指標を用いて顧客ロイヤルティを評価すべきなのでしょうか。多く用いられるものに、「NPS」と「DWB」があります。

NPS(Net Promoter Score)

顧客ロイヤルティを評価するための指標として、近年最も注目されているのが「NPS(Net Promoter Score)」です。
NPSは、「この商品(ブランド)を友人や知人におすすめしますか?」「それはなぜですか?」といった質問により、特定のブランドに対する顧客の「他人への推奨度」を数値化するものです。

具体的には、自社の商品やサービスを家族・友人などに勧める可能性を0から10までの11段階で評価してもらい、

  • 「批判者(0~6)」
  • 「中立者(7~8)」
  • 「推奨者(9~8)」

に分類します。全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSとなります。
NPSが高いほど、推奨者が多い(批判者が少ない)ということを意味します。このためNPSの向上は、売上高の成長率と深い相関があるとされています。

NPSの指標

DWB(Definitely Would Buy)

DWBも顧客ロイヤルティを評価する指標の一つです。「Definitely Would Buy(必ず買いたい)」の略で、あるブランドの商品を購入したいかどうかについて

  • 「必ず買いたい」
  • 「買いたい」
  • 「買うかもしれない」
  • 「あまり買いたくない」
  • 「絶対買いたくない」

の5段階に分けて質問することで、「購入意向」を数値化するものです。
この5段階の評価のうち、「必ず買いたい」と答えた人の割合がロイヤルカスタマーの割合であると見なされます。

顧客ロイヤルティを向上させるには?

顧客ロイヤルティを向上させ、ロイヤルカスタマーを増やすにはどうすれば良いのでしょうか? ここからは顧客ロイヤルティを向上させるポイントや事例を見ていきましょう。

顧客ロイヤルティを向上させる手法

顧客ロイヤルティ向上の手法として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 顧客との接触頻度の増加
  2. ユーザーコミュニティの形成
  3. ロイヤルティプログラムの導入

①顧客との接触頻度の増加

心理学用語で、「単純接触効果」というものがあります。最初はあまり興味がなかったものでも、繰り返し接するうちに好意度が高まるという考え方です。

ブログやSNS、メールマガジンなどを通じて顧客との接触頻度を増やすことで、自社に対する愛着や好意が高まり、ロイヤルティ向上が期待できます。

②ユーザーコミュニティの形成

自社ブランドのファンが参加、交流できるコミュニティの形成も顧客ロイヤルティ向上に効果的です。

ファン同士の連帯感が生まれ、コミュニケーションにより商品やサービスの使い方をはじめ、ブランドに対する知識や認識の共有が活発に行われるようになるためです。

③ロイヤルティプログラムの導入

ロイヤルティプログラムは利用額に応じてポイントやマイルなどの特典を付与するもの、いわゆるポイントシステムです。ロイヤルティプログラムの導入により、ロイヤルカスタマーの育成効果が期待できます。

特別感を味わってもらうことにより、ブランドに対する愛着を深めてもらう仕組み作りが大切です。

ロイヤルティプログラムの成功事例

スターバックスコーヒー「スターバックスリワード」

オシャレなコーヒーショップ

https://www.starbucks.co.jp/rewards/

スターバックスコーヒーでは、プリペイドカード「スターバックスカード」をWebに登録することで参加できるロイヤルティプログラム「スターバックスリワード」が運用されています。
登録済みのスターバックスカードで商品を購入するたび、50円ごとに1Starが付与される仕組み。集めたStarはドリンクやフード、コーヒー豆などの商品と交換できるだけでなく、集めた数により「Green Star」から「Gold Star」へとグレードが上がり、受けられる特典やサービスも変わるというものです。
日本に先行してこのプログラムを導入したアメリカでは、スターバックスリワード会員による商品購入が売上高の36%を占めているということです。

いきなり!ステーキ「肉マイレージカード」

豪快にステーキを焼く

http://ikinaristeak.com/mileage/

株式会社ペッパーフードサービスが運営するステーキレストランチェーン「いきなり!ステーキ」では、独特のロイヤルティプログラムが運用されています。

食べた肉の量(グラム)に応じて「肉マイレージ」と名づけられたポイントが貯まっていく仕組みですが、このポイントは直接、値引きなど商品代金として使用できるものではありません。貯まった肉マイレージにより「メンバーズ」から「ゴールド」「プラチナ」「ダイヤモンド」へとカードのランクがアップし、ランクに応じて来店時のドリンクサービスなど特典が受けられるというものです。

肉マイレージカードと連動して使用できるスマートフォン用アプリでは、食べた肉の量を競うランキングなどもあり、繰り返し来店してもらうことにフォーカスしたプログラムであると言えるでしょう。

笑顔の上司

TV番組でも取り上げられることが多いですね。

まとめ

顧客ロイヤルティとはどのようなものなのかと、ロイヤルティ向上の重要性や事例などについてお伝えしました。

顧客ロイヤルティを高めロイヤルカスタマーを育成することは、既存顧客の維持はもちろん、新規顧客獲得にも有効なマーケティング戦略です。顧客ロイヤルティに注目し、向上させる施策に取り組んでいきましょう。

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