調理やキッチンに関わるさまざまな商品を製造・販売する、中堅メーカーのキッチンアリーズ。海外では昔から広く使われている、無水調理のできる鋳物ホーロー鍋を現代風に再開発し、「シールポッド」の名前で売り出しました。
ところが半年前の販売開始以来、売れ行きはサッパリ……。グルメブームやチューボー男子の流行を見込んで投入した商品でしたが、商品を紹介したWEBページへのアクセスもズルズルと落ちてきてしまいました。頭を抱えるマーケティング部の矢部部長と橋本主任。社長からは広告宣伝にお金は使えないので頭を使え！と厳命が…そこへニューヨーク支社からコンテンツマーケティングの専門家、小杉主任が着任。はたして3人はシールポッドの売上を、V字回復させることができるのでしょうか？
主要キャラクター紹介
小杉明美（主任）
アメリカの大学でマーケティングを学び、そのままキッチンアリーズ社のNY支社・マーケティング部に勤務していた27歳。独身。人事異動で、東京本社のマーケティング部に異動。販売が低迷する「シールポッド」のマーケティングを担当することになった。若干、日本の感覚とはズレたところを持っているが、気が強いデキる女子。
橋本達矢（主任）
26歳。独身。半年前に営業部から異動してきた。まだまだマーケティングについては勉強中だが、「シールポッド」の販売が低迷していることを営業部のせいにする会社に対して、マーケティング部でもっとできることはないのか？と疑問を持っている。少し気が弱くて優しい性格。
矢部瑞生（部長）
45歳。妻と二人の娘。大学ではマーケティングをかじった程度だったが、入社以来マーケティング部でずっと頑張ってきた、たたき上げのマーケッター。最新情報には疎く、人は悪くないが自分をデキる男と勘違いしているところアリ。商品の売り上げ向上を一番に考えている熱血漢だが、思い込みが激しく勘違いの勇み足も多い。
情報過多のネット社会では、一方的な情報発信は嫌われる!?
あちゃー！ またPVが下がってる！ これで3ヶ月連続じゃん……。まずいなー、これ。
どうした？ 橋本くん。社外向けWEBの月次レポートを見てるのかい？
はい。また「シールポッド」のページ、PVが下がってるんです。半年前の売り出し以来、UUは低空飛行だしPVも3ヶ月前からズルズル落ちてきてます。出荷数も伸び悩んでるそうです。
シールポッドの良さを詳しく紹介している、いいページなんだけどなぁー。写真もキレイでさ、料理なんかすごく美味しそうに見える。買いたくなる情報はバッチシ揃ってるし、営業の売り込みが足らないんじゃない？
そんな！ 営業は連日販売店をまわって奮闘してますよ！ それよりもっと広告にお金を使って支援してあげないと！
橋本くんは半年前まで営業部だから彼らの肩を持つけどさー。やっぱり最後は前線が頑張ってくれないとな。広告は営業からも要望が上がってるんだけど、社長のOKが出ないんだよ。金ばかりかけてないで知恵を絞れってさ。我々もSEO頑張ろうよ。
SEOやリスティング広告はもう限界っすよ。このままじゃ営業部とマーケティング部が戦犯になっちゃいます。何か手を考えないと……
こんにちは！ こちらはマーケティング部……ですか？
はい。マーケティング部の新商品マーケティング担当です。誰をお捜しですか？
私、主任の小杉明美です。今日、ニューヨーク支社からこちらに着任しました。
おー！ アケミちゃ〜ん！ 社長から聞いてる。 待ってたよー
Ha? Who are you? Akemi-chan? Don’t talk to me so familiarly!
（はぁ？ あんた誰？ アケミちゃんですって？ 気安く話しかけないでよ！）
ん？ 今日のお昼はファミレスで丼を食べたいの？ でも、なんで丼？ 普通はハンバーグとかコロッケじゃないの？
（まったく会話がかみ合ってない…）あ、小杉主任、こちらマーケティング部の矢部部長です。僕は同じマーケティング部の橋本……
あなたが矢部部長でしたか、失礼しました。これからお世話になります。さっそくですが矢部部長。私は今回の異動に際し、社長から「シールポッド」の販売に関してマーケティング的なテコ入れをするように厳命を受けています。ニューヨーク支社のマーケティング部では、新商品拡販のためのコンテンツマーケティング担当をしていましたし、こちらでもきっとお役に立てると思います。
頼もしいねぇー。 実はさ、ちょうど今「シールポッド」のPVが下がって困った！って話を橋本くんとしてたんだよ。
そうなんです。僕がその橋本……
でしょうね。先ほど「シールポッド」のページを見ましたが、いまだに旧来型ネットマーケティングの手法を続けておられるようですね。企業が顧客に知らせたいことを一方的に発信する、旧来型ネットマーケティングの手法はもう限界です。
まじすか……
情報があふれ過ぎている現代では、顧客が欲しい情報にアクセスしにくく、企業から一方的に伝えられる情報はかえってジャマに思われてしまう危険性すらあります。特にスマートフォンの普及により更に情報は手に入れやすくなっていて、顧客は必要ではない情報の海にウンザリしている状況です。
僕なんか、家に来るダイレクトメールのほとんどは開封しないで捨てちゃいますね。小杉主任の言うこと、よくわかります。
確かに私も登録したことすら忘れてるメルマガは、受信した途端にゴミ箱に直行だもんね。でもさ、コンテンツマーケティングってそんなことにはならないの？ いや、コンテンツマーケティングはよく知ってるよ。よく知っているけれども、念のためにその効果についても再確認しておきたいってことね。
……。
ではさっそく【念のために】、旧来型ネットマーケティングが限界だと言われる理由から再確認していきましょう。これからよろしくお願いします。
マーケティング部の活躍で、「シールポッド」の売上が回復すると良いなぁ。いやー、異動なんて聞いていなかったからビックリしました。こちらこそよろしくお願いします。
………あら？ あなた、誰？
だから、橋本だって………
まとめ
新製品「シールポッド」の販売不振に悩むマーケティング部に、アメリカ帰りのコンテンツマーケティングの専門家、小杉主任が着任しました。さっそくあなたたちのマーケティングは古い！と一刀両断のようですが、3人は協力してこの難局を乗り切ることができるのでしょうか？
〜SEOやリスティング広告はもう古い？〜
