コンテンツマーケティングを語るときにブログやSNS、動画などと同じく、コンテンツとして出てくるのがeBookです。動画などに比べて派手さがないので注目を集めることの少ないeBookですが、顧客の興味を引きリード(見込客)へとなってもらうためには欠かせないコンテンツです。
よくホワイトペーパーと同じに扱われてしまうeBookですが、この二つには明確な違いがあります。eBookならではのメリット、CVR(Conversion Rate)に影響を与えるような作り方についてお話ししていきましょう。
eBookって何? そしてその目的は?
eBookというと「電子書籍」を思い浮かべる人も多いでしょうが、コンテンツマーケティングの世界では無料でダウンロードできる、商品やサービスに関する資料をまとめたものを指します。多くはPDFやPPT(パワーポイント)のファイル形式になっており、商品やサービスの特長が一目でわかるように工夫されています。
「それならWebに書いておけばいいじゃないか」と思う人もいることでしょう。ですがWebは、多くの情報を載せるには不向きな場合もあります。例えばページが長くなってしまってスクロールするのが大変だとか、反対にページを多くまたいで内容の一貫性に欠けてしまうとかです。eBookであれば、商品やサービスの特長を順序立てて顧客に知ってもらうことができ、説得力も増します。
顧客に過不足無く情報を伝えるために、eBookは最適なツールなのです。
eBookって、ホワイトペーパーと違うの?
eBookとホワイトペーパーが同じもののように書かれている場合がありますが、この2つは別なものと考えるのがコンテンツマーケティングの世界では一般的です。ホワイトペーパーは日本語で言えば「白書」で、狭義では政府が発行する報告書、広義ではデータやテキストが載った開示文書といった意味合いでしょうか。
2つの違いを整理してみました。
eBookとホワイトペーパーを比較
目的 | 内容 | ボリューム | 取引形態 (購読対象) | |
---|---|---|---|---|
eBook | 商品やサービスの良さをわかりやすく伝える | 写真やイラストも使われ、解説書やノウハウ集といったイメージ | 少なめ。読み物としてまとめられている | BtoC(一般消費者)、BtoB(企業) |
ホワイトペーパー | 自社の状況、ビジネス的課題や市況、トレンドを分析して報告する。 | 統計データやグラフが多く、資料集のイメージ | 多め。読むというより参照する目的で作られている | BtoB(企業) |
決まった定義があるわけではありませんが、両者にはおおよそ上記のような違いがあります。一番明確な違いは購読対象でしょう。eBookは消費者や企業担当者にわかりやすく作られることが多く、ホワイトペーパーは企業向けに作られるのが一般的です。
eBookの提供例
例えばリコージャパン株式会社の「リコーのダイレクトマーケティング」では、資料ダウンロードのページ(https://drm.ricoh.jp/download/)に、同社が提供するさまざまなソリューションに関するeBookを置いています。
顧客(主にマーケティングに悩みを抱える企業担当者)はこのページで興味あるeBookを見つけたら、メールアドレスや会社名、氏名などを記入することにより無料でダウンロードすることができます。
このページには、リコージャパンが提案するダイレクトマーケティングのノウハウや、実践的なテクニックをまとめた資料が集められています。
eBookのメリットとデメリット
eBookのメリットには、上記のようにオファーを通じて顧客情報を手に入れることができる他、以下のようなものがあります。
- 潜在顧客、見込顧客の発掘ができる
- 自社の優位性をアピールできる
- 常に最新の情報を提供することができる
- 制作コストが安い
eBookは電子媒体なので、更新さえしておけば印刷物のように内容が古くなってしまうこともなく、また紙代、印刷代がかかることもありません。デメリットなのはこの更新の手間ぐらいで、極めて使い勝手の良い(メリットの多い)コンテンツだと言えるでしょう。
効果の出せるeBookの作り方! 標準的な構成とは?
ではCVRに影響を与えるようなeBookの構成とは、どのようなものでしょうか?
eBookは書籍のように章立てをして制作するため、説得力のある構成を作れるか否かが成果の分かれ目になります。例えば課題解決のソリューション提案をするのなら、以下のような構成が標準的です。
①課題の提起、投げかけ
顧客の抱えているであろう課題を提示し、興味を引く
②ソリューションの提案
課題解決の方法を示し、方向性を提案する
③解決の根拠
可能ならば事例を示し、しっかりとした根拠をもとに顧客を納得させる
④商品やサービスの紹介
自社の商品やサービスを紹介し、課題解決に協力できることをアピールする
加えてeBookを作成するときには、以下のようなことに注意をするとさらにわかりやすくなります。
- タイトルは顧客の興味をそそる、キャッチーなものにすること
- 表紙には写真やイラストを使い、興味を持ってもらえるようにする
- 顧客が探したいものをすぐに見つけられるように、目次を作りリンクを設定しておく
- 導入部分には顧客の関心が高い内容を書き、本文へと誘導すること(※)
- 本文には図や写真、イラストを多く使い、視覚的に見やすく工夫する
- 1ページに多くの内容を詰め込みすぎない
※例えばブログの記事などで、多くのコメントが集まったりアクセス数の高い記事を参考にする
まとめ
自分の情報を提供してeBookをダウンロードする顧客は、持っている課題を真剣に考えて解決への意識が高い顧客と言えます。そのような顧客の背中を一押しし、適切な解決策を示すことができるeBookが優れたeBookです。
Webでは表現しきれない説得力を発揮するeBook。CVR向上のために、活用してみてはいかがですか?