【用語解説】リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、獲得したリード(見込み顧客)に対してメールやSNSなどでのコミュニケーションを継続的に行い、より見込み度の高い顧客へと育成していくマーケティング活動のこと。
従来の営業ではあまり活用できていなかった、「すぐに成約しない見込み顧客」のデータを活用し、中長期的な視点で成約率を高めていくマーケティング施策であると言える。
リードナーチャリングとはどんな意味?
マーケティング用語で「リード(lead)」とは、自社製品やサービスを購入してくれる見込みのある相手、すなわち見込み顧客のことを指します。
続く「ナーチャリング(nurturing)」は英語で「育成」「養育」などの意味を持つ言葉です。リードナーチャリングとは、「リードの育成」という意味合いになります。
リードを育成するマーケティング活動
展示会やセミナーでたくさんの名刺を獲得しているものの、直後にアプローチを開始する有望な見込み顧客以外のデータについては有効活用できていないというケースは多いものです。いわゆる休眠顧客となってしまっているのです。
しかし、最優先でアプローチすべき有望なリードではなくとも時間をかけて良好な関係性を築き上げていくことで、いずれ商談や成約に漕ぎつける可能性があるリードは少なくありません。
リードナーチャリングとは、こうした「現時点ではまだ見込み度が低いリード」とのコミュニケーションを継続し、「有望なリード」へと育て上げていくマーケティング活動のことを言います。
特にBtoBビジネスでは成約までに長期間を要するため、リードナーチャリングの重要性が高いです。また、BtoCビジネスにおいても、自動車や不動産のような高額商品やブライダル関連サービスなど検討に時間をかける傾向がある分野では、リードナーチャリングに力を入れる企業が増えてきました。
リードジェネレーションとの違い
リードナーチャリングと合わせて知っておきたいマーケティング用語として、「リードジェネレーション」があります。
リードジェネレーションは「リードの獲得」という意味。自社製品やサービスを認知し、関心を持つ見込み顧客のデータを集めることです。先ほどの例で言えば、展示会への出展および名刺交換や、セミナーの開催による参加者情報の取得などといった施策がリードジェネレーションにあたります。
リードジェネレーションによって獲得したリード情報の中には、すぐにも商談を進められそうな見込み度の高いリードが存在することもあります。しかし大半のリードは、獲得した時点では「ある程度の見込みはあるものの、すぐに商談を進められるほどではない」という状態でしょう。
こうしたリードに対してメールやソーシャルメディア、リターゲティング広告などといったさまざまな手法で働きかけて、見込み度が高いリードへと育て上げていくプロセスがリードナーチャリングなのです。
リードを獲得する段階が「リードジェネレーション」、獲得したリードをより見込み度の高いリードへと育成する段階が「リードナーチャリング」であると言えます。
さらにスコアリングなどによってより有望な顧客を絞り込む段階を指す「リードクオリフィケーション」という用語もあります。
ただし、どの施策がどの段階にあたるのかについては明確に線引きできない部分もあるため、リードの獲得からホットリストの抽出まで一連のプロセスを総称して「リードナーチャリング」と呼んでいるケースもあります。
リードナーチャリングの必要性
リードナーチャリングは、近年BtoBマーケティングにおいて特に重視されるようになってきました。その背景として、以下のようなことがあると考えられるでしょう。
リード獲得手段の多様化への対応
かつてはリード獲得といえば展示会での名刺交換やテレアポなどオフラインでの施策が主流で、業種や企業によって手段やノウハウ、獲得数などはある程度定まっていたと言えます。
しかし近年ではネット広告やコンテンツマーケティングなどオフラインでの施策の多様化にともない、より幅広い層のリード獲得が可能になりました。従来どおりのやり方では活用できないリードのデータも増加傾向にあり、これらへの対応策としてリードナーチャリングが有効であると言えます。
消費者の購買行動の変化への対応
BtoBビジネスでは、購入担当者と決済者が異なることなどから、成約にいたるプロセスが長期化、複雑化するケースが多いです。これに加えてインターネットの普及により、消費者がネットで情報を検索し、製品やサービスの比較・検討を行うことがBtoBにおいても当たり前になったことで、より購買行動は長期化、複雑化していると言えます。
こうした変化に対応するためにも、長期的な視点で見込み顧客との良好な関係性を築いていくことがより重要になってきているのです。
売り手側、買い手側ともに、近年は従来とは行動が変化しています。このような変化に合わせて、リードナーチャリングが重視されるようになってきたのです。
米国のリサーチ会社の調査によれば、「獲得したリードの75%は、すぐには購入しない」(※1)ということがわかっています。しかし、「すぐに購入しないリードの80%は2年以内に購入する」(※2)という調査結果もあるのです。
つまり、獲得した時点での見込み度が低く、すぐに商談につながらないからと言ってフォローをしなければ、そのリードは2年以内に競合他社に流れてしまう可能性が高いというわけです。すぐに商談化・成約しないリードに対しても、適切なリードナーチャリング施策を継続していくことが必要であると言えるでしょう。
(※1) 出展:Forrester Research
(※2) 出展:Sirius Decision
リードナーチャリングを実践するプロセス
リードナーチャリングを実践するプロセスは、大まかに以下のような流れとなります。
- カスタマージャーニーマップの作成
- 見込み顧客のセグメント
- セグメントごとに最適なアプローチの実施
①カスタマージャーニーマップの作成
顧客がどのように自社製品やサービスを認知し、ニーズを感じて購買に至るのかのプロセスを分析、可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と言います。まずは自社の顧客についてカスタマージャーニーマップを作成し、購買行動のプロセスを明確に想定することがリードナーチャリング施策を計画するうえで重要です。
②見込み顧客のセグメント
作成したカスタマージャーニーマップに対して、それぞれのリードがどの段階にあるのかを当てはめ、セグメンテーションします。
③セグメントごとに最適なアプローチの実施
各セグメントのリードに対して、どのようなアプローチが有効であるかを検討し、それぞれ実施します。
例えば自社の製品やサービスを知ったばかりの人と、具体的に競合製品・サービスとの比較検討を始めている人では、購入意識や届けるべき情報が異なります。
セグメントに応じた最適なアプローチを行うことで、段階的に見込み度を高めていきましょう。
リードナーチャリングの主な手法
リードナーチャリングの具体的な施策として、主に以下のようなものが挙げられます。
メール
リードの状況に合わせた段階的なメール(ステップメール)の送信や、メールマガジンによる製品・サービスに関連する情報の配信など、メール配信はリードナーチャリングに活用しやすい施策の一つです。
開封率やクリック率などでナーチャリングの効果測定をしながら、より効果的な配信タイミングや内容を確立していくことができます。
リターゲティング広告
自社のWebサイトにアクセスしたユーザーに対して、サイト離脱後に追いかけで広告を表示するリターゲティング広告も、リードナーチャリングに有効な施策です。繰り返しリードの目に留まることで、認知や関心、購買意欲を高める効果が期待できます。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアでのアカウント運用を行い、製品・サービスの関連情報の発信や、アクティブサポートなどによるユーザーとのコミュニケーションを行うことで、ニーズの喚起や信頼感の向上などにつながります。
セミナー、イベント
自社製品やサービスの機能や使い方を紹介するセミナーや、体験イベントなどの開催は、購入を検討する段階のリードに対して有効です。
参加する時点で見込み度の高いリードを絞り込むことができており、その段階のリードに最適な情報を伝えることで成約の可能性が高まります。
まとめ
獲得したリードを生かして、長期的な視点での成約率を高めていくリードナーチャリングの考え方は、現代のマーケティング活動の中でも特に注力すべき部分であると言えます。
効果的なリードナーチャリングの実現には、ターゲットの購入検討段階にあわせたアプローチの実施が重要です。PDCAを回しながら、自社に最適なアプローチ手法を確立していきましょう。