近年のWeb業界の人材不足は深刻化していく一方ですが、このような問題の解決の鍵は人材の育成と運用の過程にあると言えます。効率的な人材育成のポイントとは何なのか?
今回は、社内での人材育成のメリットとデメリットについて紹介します。
Web(IT)業界は本当に人材不足なのか?
結論から言うと、Web業界及びIT業界は今深刻な人材不足に陥っています。常に一定数以上の就職希望があるにも関わらず、その人気が故に入社が困難だと思われがちな業界です。
近年は企業の急成長に伴い人材募集の量と入社希望者の比率が合わず求人ばかりが先走っているのも事実です。実際にWeb業界にはWebデザイナーやプログラマー、エンジニアなどの様々な職種が存在しますが、そのほとんどが深刻な人材不足問題を抱えています。
2019年現在、抱える人材不足は今後より一層の深刻化が予想されているため、一刻も早い人材の育成が必要不可欠です。
なぜWeb業界は人材が不足しているのか?
①求められる人材の幅が狭い
Web業界で新たに人材を採用するにあたって最も重要視されるのはいかに即戦力として活動できるかという技術面にあり、近年のWeb業界の急速な成長に対し、それに伴った実力を持つ人材の育成が追いつかないという大きな問題があります。
特にWeb業界やIT業界に就職するには職種を問わずプログラミングやハードウェアに関するハイレベルな知識が必要とされるため、即戦力として活動できるだけの人材の育成には多くの時間を要します。言わばハードルが高いということでしょう。
②収入が低い
過酷な業務や労働時間に見合わない収入の低さは就職を検討する際の大きなマイナスイメージに繋がり、特にエンジニアはその需要の変動も相まって就職率が低下しています。また2017年に厚生労働省が調査したデータによるとWebデザイナーの平均年収は訳440万円となっており、この数値は他職種の収入に比べて軽く下回っています。後々フリーランスとして独立するという野望があれば別ですが、安定を求める若者には厳しい現実でしょう。
③イメージと実際の業界の差が激しい
Web業界と一口に言うと、就職を検討する際の若い方は「おしゃれ」や「かっこいい」などといった漠然としたイメージを抱きがちであることがほとんどですが、実際の職場の過酷さや景気の変動に伴い変化する多忙さ等に苦戦することの多い現実とのギャップから就職を断念してしまうというケースも多くあります。
これにより現代のWeb業界では社員の高齢化も進んでおり、高齢なエンジニアやプログラマーの定年退職等により更なる人材不足に陥る危険性も問題視されています。
④業界内での転職率が高い
先述した通り、Web業界の過酷な業務と低賃金は労働者の不安を煽り、別の職種への転職率の上昇にも繋がっています。しかし他の職種への転職者が増加していく一方で、それに対する他の職種からのWeb業界への転職および未経験者が新たにWeb業界で働くということは非常に難しく、人材の入れ替わりの効率の悪さも大きな問題です。
社内で人材育成と運用をした場合のメリット
社内での人材育成と運用を行うメリットは、社員同士のコミュニケーションの活発化という点にあります。社員同士で指導を行うことで、上司と部下との間に指導を通した信頼関係が生まれ、その後の運用にあたっても積極的に意見を交換するなどスムーズな人間関係の構築が可能です。
長期にわたり人材を育成することで社員一人ひとりの強みや弱点を分析することもでき、それぞれの得意分野を採用した運用形態を取ることもできると言えます。さらに、人材を育成するというゴールがあることで育成される側だけでなく指導する側の社員同士のモチベーションも向上し、その後の業務にも積極的にやる気を持って取り組むことができるのも全ての人材育成を社内で完了させるメリットの一つです。
社内で人材育成と運用をした場合のデメリット
社内で人材育成と運用をした際にはデメリットも多く、特に大きな問題であるのは育成にかかる時間の長さです。また、0から始める人材育成には膨大な時間を要し、育成される側と指導する側共にかかる負担も非常に大きいです。優秀かつ即戦力として運用に回すことのできる人材を育成するためには育成する側の知識や技術力の多さが必要不可欠となり、人材育成以前の指導者の育成の手間とコストを考慮するとあまり効率的であるとは言えません。万が一人材の育成が上手くいかなかった場合を考慮すると、人材の育成期間中の収入の減少や労働時間の短縮は会社にとって大きな痛手です。
人材の育成は技術面のみならずそれぞれのモチベーションや業務に対する積極性が大きく関わってくるため、今後のやる気に繋がるとはいえ一概にマニュアル通りの指導をすれば解決するという問題でないのも重大なデメリットとなっています。
人材育成と運用どちらを優先すべきか
ここまで社内での人材育成と運用のメリットとデメリットついて紹介しましたが、社内での人材育成はコミュニケーションに関するメリットが多いとはいえ、やはり時間やコストなどのデメリットの方が多く目立ちます。時間やコスト面を解決するためには外部に運営を委託することも検討に入れる必要があります。実際に運用を外部に委託した場合、どんなメリットがあるのかご紹介します。
①時間の効率化
社内での人材育成には膨大な時間がかかる上、新たに雇用するという点においては余分なコストも重なります。しかし、運用そのものを外部に委託することで低いコストで運用することができます。また、これまで人材育成と運用に使っていた時間を、人材育成に専念して使うことができるため、成長スピードの向上にもつながります。
②モチベーション管理
社内で新たに人材を育成する際にはモチベーションの管理が重要になります。配置転換などで別の部署からWeb担当になった場合、慣れない業務に加えて、早急に成果を出さなければならないプレッシャーもあります。そのため指導者はモチベーション管理も含めて、教育、運用する必要があり、指導者の負担も大きくなります。しかし運用を外部に委託した場合、そのようなモチベーション管理は必要ないため、円滑に育成、運用ができます。
③失敗する可能性が低い
人材育成をしながら運用を行うと、少なからず経験不足から運用が上手くいかないことがあります。失敗を経て、成長する部分もありますが、育成や運用に時間がかかるとコストが増えます。
しかし運用はプロに任せることで、運用面での失敗を極力抑えることでき、また間近でノウハウなどを覚えることができるため育成にも繋がります。
④使いやすい
自社の人材で運用を行った場合、運用が上手くいかないからといって簡単に雇用契約を打ち切ることはできません。しかし外部へ委託した場合は、必要な時に必要なだけ委託できるため、いつでも切ることができます。このような理由から、運用は外部に委託し効率的な運用を図る企業が近年は増えつつあります。
まとめ
Web業界とIT業界の人材不足は今もなお深刻化が続いているのが現状ですが、このような人材不足問題をより効率的に解決するためにも、外部への委託は現代社会において必要不可欠となっています。運用を外部に委託しプロの作業を間近で見てそのプロセスを学ぶことでより確実な即戦力の育成につながり、通常の業務の片手間で行う指導に比べ人材の成長速度もよりスピーディーです。
また、育成期間中の利益も安定させることができるため、コストの早期回収が見込めます。人材育成と運用の双方の問題を解決するためには、膨大な時間とコストがかかるので、自社の現状を考えて委託できる業務は外部に委託することも検討してみましょう。